昭和52年、群馬県教育委員会では乱獲による減少あるいは絶滅の危機にあった高山蝶4種を「種」としての天然記念物の指定とし、本格的な保護に乗り出しました。このうち嬬恋村に生息するミヤマシロチョウ・ミヤマモンキチョウ・ベニヒカゲについて、県より委嘱されたパトロール員を中心として毎年保護パトロールが行なわれています。
パトロールが開始された当時は、個体数も少なく絶滅の恐れがあるような状況でした。以来、生息状況の調査・確認と合わせ、捕獲禁止のPRなどの懸命な保護活動により、指定後数年で現地で高山植物等と共に鑑賞・視察ができるまでに繁殖してきました。特に平成6年度に行なわれた生息地に植生する高山蝶の食草・食樹の整備により、それまで見当らなかった場所に飛翔する個体も確認されるようになりました。また、平成11年度から一時ミヤマシロチョウの確認個体数が激減する時期もありましたが、ここ数年は安定した確認がされており、一時の危機を脱したと思われます。
嬬恋村、特に浅間山(2,568m)周辺は古くから別荘地として開け、内外人の学者や、知識人が訪れる機会が多く、昆虫類の調査も先進していたといいます。このためアサマモンキチョウ(ミヤマモンキチョウ)、アサマイチモンジ、アサマシジミなど浅間山にちなんだ名前が付けられている蝶もいます。嬬恋村に多様な種を存続させていくために、今後も保護パトロールは続けていく必要があります。
■高山蝶の概要
≪高山蝶保護パトロール実施要綱(嬬恋村教育委員会)≫
1.目的 群馬県指定天然記念物である高山蝶の生息状況を調査すると共に、天敵及び採取から守るため環境の整備や捕獲の禁止を徹底し、保護意識の高揚を図る。
2.期間 6月〜9月
3.地域 嬬恋村内
4.内容
1)要員 嬬恋村文化財調査委員・自然公園保護員等(10数名) 県教育委員会より委嘱
2)日程 期間中
3)実施内容
・生息状況の調査---高山蝶の生息状況調査
・食草植樹の育成---高山蝶の食草食樹の育成
・周辺の環境整備---高山蝶の食草食樹周辺の雑木の除去、登山道の整備
・捕獲禁止(指導)---登山者への注意等
・保護活動のPR---リーフレット等の配布
4)実施方法
・朝○×時より、所定の場所に集合、解散とする。
・パトロール員は複数名で班を組み、パトロールを行なう。
・パトロール員は身分を証明する「群馬県教育委員会」の腕章をつける。
・パトロール中は、3)実施内容に基づく活動を行なう。
・パトロール後は、『高山蝶パトロール日誌』に所定の形式にて記録、写真を添付し、
県教育委員会分化課へ提出する。
・保護活動のPRとして、リーフレットを随時配布する。
■問い合わせ先 嬬恋村教育委員会嬬恋郷土資料館
TEL0279-97-3405(ファックスも同じ)