2007年 6月28日(3) 大前の達人、黒岩時子さんを訪ねる
参加者:上毛新聞社記者・吉田様、土屋会長、土田、木村
次に伺ったのは大前の達人・黒岩時子さん(79才)。昨日の会合でクロコをご馳走してくださった方です。
まずは昨日のクロコを拝見させていただきました。おお、これがでんぷんの入っていないクロコ!小さく砕いてあります。そして冷蔵庫から昨日の材料の余りを持ってきてくれました。すぐに作って次の方にご馳走できる状態です。味噌とネギも入っています。
そして、シロコ(片栗粉)も持って来てくれました。昔はもっと真っ白だったそうです。このシロコには少し不純物(中間のクロコ+少量の皮など)も混じっています。
「お茶でも入れるから待っててねえ」と仰る黒岩さんに、土屋会長は「お茶はいらないから、このシロコをお湯で溶いてかき混ぜて持ってきてほしい」と言いました。持って来てくれたものを拝見すると…おお!これは子供の頃、おやつの代わりに、こっそり台所の片栗粉を水に溶いてコンロにかけてつくった、あの懐かしい食べ物だ!食べてみるとプリンプリン。この食感、なんて懐かしい…。自家製シロコは良く固まり、粘りがあります。しかし現在の片栗粉は、こうはならないらしいのです。なにか固まるのを防ぐ物質が入っているそうです。
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黒岩時子さんがクロコを作ることを知っているので、農家の人がじゃがいもを収穫したときに出るくずいも(小さないも)を置いていくのだそうです。
そして、黒岩時子さんが使っている器具を見せてもらいました。すると…おやまあ、年代物のミキサーが出てきました!いもを乗せて蓋をし、スイッチを入れれば向かって左側からシロコと中間のクロコが出てきます。それをシロコに精製するので、黒岩さんのシロコは昔よりも黒みがあるのです。右側から出てくる繊維質と皮を発酵させてクロコをつくります。
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そして、かつての作り方や、クロコにまつわるお話を聞かせてくださいました。
- 収穫したじゃがいもは、種芋、出荷する芋、自分達の食料の芋、シロコをとる芋に分けた。
- いもは凍ると美味しくないので、シロコにして現金収入を得た方が良かった。
- くず芋を芋おろし器でおろし、樽に流し入れ、水と混ぜかき混ぜた。
- やがて層に分かれて凝固したシロコを包丁で採取し、シロコを片栗粉に精製した。このシロコを作る過程で赤い泡がでる。そのせいで、吾妻川に泡が浮いたという。
- 残り(クロコ)をムシロで包んで外に放置した。今はビニールで空気が入るようにして置いている。ムシロを使うのはそのほうが微生物が繁殖して発酵が進むから。しかし、ビニール袋でも味はそう変わらない。
- 早春、匂いが強くなってくる。虫が湧く前、畑仕事の前にクロコ作りをした。
- かつてクロコは、春先の主食だった。
- クロコはそのまま灰に入れると灰だらけになってしまうので、焙烙で表面を焼いてから、灰の中に入れて焼き上げた。
などなど。また、秋には黒岩さんのクロコ作りを手伝わせていただくことになりました。今後、この黒岩時子さんと海野西五郎さんという二人のクロコ達人の協力と賛同を得て、私達のクロコプロジェクトは進んでいくことになりました。
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2007年6月28日(1)草むしりと作切り
2007年6月28日(2)海野西五郎さんを訪ねる
この日の上毛新聞記事(2007.07.01)