インタープリター・リーダー養成講座2009

〜 伝えたいこと、見せたいもの 〜

小学校長期自然体験活動〔全体指導者〕養成研修(文部科学省委託)

※CONE学校支援リーダー認定事業

 

※この事業は終了しました。同様の講座は 浅間・吾妻エコツーリズム協会 で、

エコツアーガイド養成講座 として実施しています。

 

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昨年のインタープリター養成講座の様子 インタープリターとは、解説者・通訳者という意味です。野外でこの言葉を使う場合、自然解説者とか自然案内人として使われています。自然は多くの事柄を私たちに語りかけていますが、それらはいわゆる言葉や文字ではないものです。そんな自然からのメッセージを、皆様方に解りやすくお伝えし、楽しく安全に野外へとご案内するのが、インタープリターです。
 この機会に、あなたもインタープリターになってみませんか。観光事業者の方はお客様への良きサービスのために。ご家族やご友人に身近な自然を紹介するために。ウォーキング、トレッキング仲間を増やしもっと人生を楽しむために。そして何よりもこの美しい浅間山麓・西吾妻の風景を(次の世代に)引き継いでいくために。
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日 程 2009年8月6日(木)〜9日(日) 12時30分〜18時30分 雨天決行
※4日間全ての講座を受講すると、小学校長期自然体験活動指導者養成研修終了証(とCONE学校支援リーダー)がもらえますが、インタープリター・リーダー(とCONEリーダー)取得のみがご希望の方は8月7日から3日間の受講のみで結構です。
会 場 嬬恋会館 (宿泊ではなく、通いです。JR万座鹿沢口駅より徒歩15分)
   377-1526 群馬県吾妻郡嬬恋村大字三原691
   場所はマピオンの地図へ
   TEL:0279-97-3004 FAX:0279-97-3005
対 象 浅間山麓・西吾妻の自然を愛する20歳以上の自然案内、野外活動に興味のある健康な男女
募集人数 35名(先着順)
講師と
講座内容
 
6日 午後 大西貞弘
学校教育における体験活動の意義(2時間)
教育課程と体験活動の関連性(2時間)
7日 午前 赤木道紘
自然の理解(1.5時間)
下谷通
自然と人、社会、文化のかかわり(2時間)
午後 安田滋 木の家講座(1時間)
安田滋
赤木道紘
上州三原インタープリテーション(2.5時間)
8日 午前 小崎昭一 対象となる参加者を知る、ネイチャーゲーム(2時間)
自然体験活動の理念(1時間)
午後 笛木京子 自然体験活動の基礎技術、指導法、プログラムの作り方(4時間)
小林勝三 現場の応急手当術(1時間)
9日 午前 消防署嬬恋分署 普通救命講習、AED(3時間)
午後 吉田夏生 実践ネイチャーガイド術(2時間)
午後 大島義夫 基礎登山講座(2時間)
参加費 一般14,000円  会員11,000円
※キャンセル料は、一人3,000円とします。差額から振込み手数料を差引いた分を銀行振り込みにて返金します。
持ち物 各人の昼食(お弁当)、筆記用具、バインダー、野外活動ができる服装・靴、三角巾(なければ代わりのふろしきなど)、あれば自然観察用具、雨具など
保 険 ボランティア保険に加入
申込方法 1.氏名、2.住所、3.性別、4.生年月日、5.電話番号、6.職業をご明記の上、FAXまたはEメールにて以下に申し込み、銀行口座に参加費をお振込みください。ご入金を確認後、当会より申し込み請書及び案内書を発送いたします。

申込先 〒377-1528 群馬県吾妻郡嬬恋村干俣万座温泉2401 万座温泉日進舘内
嬬恋村インタープリター会事務局 木村道紘まで
TEL&FAX:0279-97-1216 携帯080-5655-3009 Eメールはこちら
銀行口座 群馬銀行嬬恋支店 普通預金口座 463369 名義 スミダ セツコ
申込〆切 2009年8月3日(月)
主  催 嬬恋村インタープリター会
共  催 自然体験活動推進協議会、嬬恋村観光協会、オーライ!ニッポン会議
後  援 群馬県、嬬恋村
協  力 吾妻広域西部消防署嬬恋分署
※インタープリター・リーダー養成講座2009 詳細はこちらをご覧ください。


≪2009年度インタープリター・リーダー養成講座を受講して≫

 受講生 橋本 和加子  


(講座14.実践ネイチャーガイド術 講師:吉田夏生)

下見に来た際、嬬恋村キャベツ畑と愛車!2009年8月6日〜9日の4日間、「インタープリター・リーダー養成講座」受講のため、群馬県嬬恋村を訪れた。私はこれまで嬬恋村を訪れたことがなかったので、講習の3週間ほど前にバイクで下見に来てみた。会場である「嬬恋会館」がある場所は、国道が通っているにもかかわらず、なかなか静かな環境であることがわかりホッとした。また周辺の自然の豊かさと景色の素晴らしさにも感激し、嬬恋村での講習が一層楽しみになった。やはり「下見」は重要。

Urulu(オーストラリア、エアーズロック)今回は、「インタープリター・リーダー養成講座」だけでなく「小学校長期自然体験活動指導者養成研修」も兼ねているからか、受講者数がいつもよりも多く37名とのこと。私が子供の頃の1クラスと同じくらいの人数だけど、大人のこの人数は本当に「大所帯」という感じだった。受講者は群馬県を中心に関東近郊からの参加者だけかと思っていたのに、さらに遠方から来ている方がいることに驚いた。
今はインターネットで顔の見えない交流が簡単にできるけど、顔を合わせて広がっていく交流はやはりいいものであると改めて実感した。

タスマニアのクレイドルマウンテン、「自然ガイドに」と思ったきっかけの場所「インタープリター・リーダー養成講座」を受講するにあたり、若干不安だったのが深い知識と経験がないことだった。
現在は東京に住んでいるけど出身は栃木県の田舎町。子供の頃から自然の中で過ごすことが当たり前だった私なので、もちろん自然は大好き。でも「好き」なだけでたいした知識は持ち合わせていない。また、講座を受講しようと思ったのは「自然を案内できるようになりたい!」という想いがあったからなのだけど、それも前年にオーストラリアに住み、旅をして決心したばかりの想い。そんな私だけどいいのかな・・・と。
でも、そんな不安も申し込み後にいただいた資料を読んで「大丈夫」と思えたし、実際に会場に入って受講者の皆さんの顔を見たり話を伺えたことで、なんだかとっても安心した。そんな皆さんに感謝です。


≪講座1日目≫

熊川栄村長、谷川猛様、住田節子会長の挨拶。

住田会長のお話の中に「自己実現・社会貢献」という言葉があり、新鮮な環境にいることでちょっと浮かれていた私は、身を引き締められた。


☆大西貞弘講師の
 「学校教育における体験活動の意義」「教育課程と体験活動の関連性」

    

子どもたちの現状とその中で起こっている問題から成長発達過程、教育改革といった内容で私にはちょっと難しいかな・・・と思った。しかし、小学校長期自然体験活動を行なうにあたってのねらいや準備、子どもの視点での考え方・学び方や生きる力について、そして先生と指導者の在り方など、先生でもあり指導者でもある大西講師の講義はとても為になりわかりやすかった。
講義中にあった「遊びを知らない」「両親の指導」などの問題は、私も時折実感することがあったが、改めて聞くと「そこまでひどいのか」と悲しくなったし、私と同じくらいの歳の親を持つ子ども達のことだと思うと、同年代として情けなさを感じた。逆に、大西講師が体験された「蛾の幼虫を見た子ども」の話には、その子の反応に感心させられた。また、「子どもは体験した後、睡眠をとることによって体験したことを概念化する。そのプロセスがあって学びにつながる」ことは、まったく知らないことだったので、聞くことができて本当に良かった。
「子ども農山漁村交流プロジェクト」について、4年後の2013年からプロジェクトを本格化できるように指導者の育成が急がれているものの、現状ではこのプロジェクトが決定事項ではないというのがちょっと気がかり。子ども達のためにも実現できるといいと思う。そして、その頃には私も指導者として従事できているといいなぁと思うので頑張らねば。


≪講座2日目≫

☆木村(赤木)道紘講師の「自然の理解」

    

「これからインタープリターに」と思っている私にとっては、「原点」と言えるのではないかと思う木村講師の「自然の理解」。講義が始まってすぐ、「理科の授業、苦手だったけどちゃんと受けとくんだった・・・こんなところで関わってくるとは」と今更後悔。それでも内容は自然に関することだし、講義も資料もわかりやすくてどんどん頭に入ってきた。また、「木がこんなふうに言ってる」といった木村講師ならではの講義は、とても新鮮で楽しく感じられた。
「消さなかった火事」の話は、本当に自然を知らないとできない判断だとつくづく思う。「目から鱗」だった。そして「My Field」を持ち、その土地のすべてを知り、その場所が何を伝えたいのかを理解することの大切さと大変さを、講義の内容と講義後にいただいた「嬬恋村三原インタープリテーション」のプリントで実感。自分の中で、自然に対する着目点が、今までよりも一層広がった有意義な講義だった。
暗記するように言われた「グリーンセイバー」の資料を、帰ってきてから繰り返し読んでいるが、やはり難しい。でも頑張ろう。


☆下谷通講師の「自然と人、社会、文化のかかわり」

    

嬬恋村観光商工課長さんである下谷講師は、「嬬恋村・浅間高原の風景に刻まれた軌跡」<自然と人、社会、文化のかかわり>というテーマで講義して下さった。要点をまとめたプリントに沿っての説明はとてもわかりやすかった。
一つの土地を説明するということは、テーマ通りその土地にかかわった人々・自然・社会的背景・文化などあらゆることを深く知り理解しなければできないことだと思う。特に長く特別な歴史を持つ場所は、その量が半端ではないと思うので、いかにうまくまとめてわかりやすく説明するか。その重要性を知ることができた講義だった。


☆安田滋講師の「木の家講座」

    

小学生の頃、「大工さんになりたい」という夢を持っていたこともあり、安田講師の講座には興味があった。講義の中で最も共感したのは「木の心地よさ」と「近くの山の木を使う」ということ。
木の家がいいのは当たり前だと思っていたけど、今は「木の家に住んだことがない子どもがいる」。確かにそうだ。私の父が今の家を建てる時、よくついて行って手伝った。手伝いをしながら嗅いだ木の匂い、完成して初めて家に入った時の木の匂いは今でも忘れられない。そういう経験を、今の子どもたちにさせてあげたいと思った。また、「同じ家でも地域によって造りなどの違いがあり、そこからさらに多くのことがわかる」ということを学ぶことができたので、そんなこともインタープリテーションに取り入れられるよう、これから勉強したいと思う。


☆木村道紘講師・安田滋講師の「上州三原インタープリテーション」

実際に三原地区を案内していただきながらの講義だった。しかし、出発して間もなく降り出した雨が次第にひどくなり、初代村長さんの家に着く前に土砂降りに・・・。川と化した道を歩いて「せがい造り」の村長さんの家まで行き、雨宿りをしながら安田講師の説明を聞いた。その後、以前阿弥陀堂だったという場所で説明を聞いて、会館に戻ることになってしまい、非常に残念だった。でもその雨のお陰で「せがい造り」のすごさを実感できたことは良かったと思う。阿弥陀堂など今回行けなかったところには、いつか行ってみたい。また、会館に戻ってから観た「昭和31年の嬬恋村」の映像は、村出身ではない私でもかなり興味深く観ることができた。自分の出身地にもあのような資料があると思うので、勉強してみようと思う。


≪講座3日目≫

☆小崎昭一講師の
 「対象となる参加者を知る、ネイチャーゲーム」「自然体験活動の理念」

    

小崎講師の、実際にネイチャーゲームをしながら受ける講義は、その時その時の参加者の気持ちを知ることができつつ、指導者としての目線もわかり、とても有効的な講義だった。言葉を使わずに誕生日順に並ぶゲームでは、本気でゲームに没頭してしまった。ただ個人的には、絵を描くのが非常に苦手なので、自然の紋を描く時はちょっとテンションが下がってしまった。
机上での講義においては、「自然を自分の中に取り込む」「自然、自分、参加者に対して受け身になって、感覚を呼び覚ます」「時間の流れを変える」など、ハッとする講義をして下さり、とにかく学ぶことが多かった。バンダナの使い方については、もっと他の使い方も教えていただきたかった。もちろん自分でも学べることだけど、また小崎講師に教えていただきたい。


☆笛木京子講師の
 「自然体験活動の基礎技術」「自然体験活動の指導法」「プログラムの作り方」

    

おひとりで幾つものテーマを受け持たれた笛木講師の講義は、とにかく楽しかった。実際に笛木講師が指導者として動いて、その中で相応しい行動・相応しくない行動を見つけ出していく講習は、指導者の意識を持って参加者側の立場になることで一層理解できたのではないかと思う。普段何の気なしに歩いている身近な場所をプログラム実施の場所にすることができるけれど、その中には多くの危険要素があることも改めてわかった。天気に左右される中でのプログラム作りからリーダーとしての心構え、そして楽しさ。盛り沢山の内容で充実した講義を受けられた。笛木講師は腹話術も得意とのこと。見てみたかった。


☆小林勝三講師の「安全対策(1)現場の応急手当術」

    

1時間という短時間の講義だったけど、止血法・骨折、捻挫などの処置・火傷の処置・包帯と三角巾の使い方・テーピングの実技など多くのことを学ぶことができた。
学生の頃、バスケットボール部や陸上競技部に所属していたので、テーピングの巻き方については、実際に小林講師が巻いているのを見て思い出すことができた。その他の救急法についても、分かっているつもりでうろ覚えだったので、今回しっかり頭の中に刻み込むことができたと思う。でも日頃からやっておかないと忘れてしまうことだと思うので、これからも続けて学んでいこうと思う。「しっかりテーピングできれば、骨折した人でもちょっとの支えで自分の足で歩ける」ということには、正直驚いた。そのような対応ができるように、しっかり身につけて対処できるようにしたい。


≪講座4日目≫

☆吾妻広域消防署嬬恋分署の方々の
 「安全対策(2)普通救命講習、AEDの取り扱い方法」

    

3人の吾妻広域消防署嬬恋分署の方の指導のもと、普通救命とAEDによる救命方法を学んだ。私が車の免許を取得する時にはAEDというものがなく、普通救命講習だけだったので、今回はとてもいい機会になった。
講習だとわかっているのに、いざやってみると「次に何をすれば・・」と内心パニックになる有様の私。だから、3班に分かれての実践講習は、何度も自分の番がやってきて救命の流れ・動きを体験できてとても良かった。いざということが起きないのが1番だけど、実際に遭遇してしまったら、落ち着いて対処しようと心に決めた。


☆吉田夏生講師の「実践ネイチャーガイド術」

    

講義場所をプリンスランドに移して、実際に吉田講師に「小さな秋」をテーマにネイチャーガイドをしていただきながらの講義。実際に携わりたいことなだけに、とても楽しみにしていた講義のひとつだった。講義が始まると、講師の素敵な声のガイドについつい「ガイドされるだけ」になりそうになったけど、「実践で覚えられることは覚えなければ」となんとか踏みとどまった。
そんな吉田講師の講義を受けつつ「ネイチャーガイドの難しさ」を実感。「下見において、まず自分が感動する」。これは100%自信がある。でもそれをいかにうまく伝えるか、参加者のことを知ってその参加者にふさわしい説明をし、楽しみながら自ら気がつくことによって感動してもらう。それが簡単なようで難しい。でも伝わった時は、ものすごく嬉しいと思う。吉田講師のネイチャーガイド術は、知りたかったこと以上のことを学べた講義だった。「秘密の場所」と、いただいた残暑見舞いは嬉しかった!


☆大島義夫講師の「基礎登山講座」

    

7月に大きな山岳遭難事故があったこともあり、装備のチェックと装備不備による事故例中心の講義だった。
最初に行なった登山装備チェックの正解率は80%といったところだった。今まで初心者向けの山に登るのが中心だったとはいえ、「これはいけない」と危機感が募った。その後、一つ一つの備品について説明していただき納得。今後、登山をする機会が今まで以上に増えると思うので、備品はきちんと揃えたい。最後に木村さんが言っていた「大島講師と行く登山道具ショッピングツアー」、ぜひとも実施してほしい。


<最後に>

限られた時間内に盛り沢山で充実した内容の講義を受けられて、本当に楽しくて貴重な経験となりました。正直、もっともっと講座が続けばいいのに・・・と思いました。講師の皆様、一緒に受講した皆様、本当にありがとうございました。
私個人としては、今までインタープリターとしての活動があったわけではなく、スタート地点に立ったばかりの状態です。だから今回の講座は、すべてが良い勉強になりました。今回の講座を受講して、漠然としていた考えに自分なりの方向性が見出せたので、本当に参加出来て良かったです。せっかく嬬恋村インタープリター会という素晴らし会と出会えたのだから、機会を作っていろいろな活動に参加して知識と経験を増やし、大好きな自然の中で、自然と人のために活動できるよう頑張っていこうと思います。今後とも、何卒宜しくお願い致します。

2009年度インタープリター・リーダー養成講座卒業生  橋本 和加子


※この事業は終了しました。同様の講座は 浅間・吾妻エコツーリズム協会 で、

エコツアーガイド養成講座 として実施しています。


≪担当者所感(事業報告)≫  


(講座8.自然体験活動の理念 講師:小崎昭一トレーナー)

5年目で6回目の開講となる今年度のインタープリター・リーダー養成講座は、自然体験活動推進協議会(CONE)事務局を通して、小学校長期自然体験活動指導者養成研修(文部科学省委託事業)としての認定を受けることになった。それで、これまでの3日間21時間であった本講座に、学校に関する4時間の専門講座を加え、さらに文部科学省のカリキュラムに内容や体制を整えると4日間26時間以上という、とても長い講座となった。また、国の委託事業であるためにエビデンスに基づく見積書やセンシティブな会計処理が要求され、これまでの数倍となった事務作業に、事務局(私)は正直、戸惑いを隠せなかった。


CONE学校支援事業全体会議


しかし、この試練はチャンスである。私達自然案内人が長年夢見ていた少年期における健全な自然教育、野外教育、冒険教育を、いよいよ国が推進しようとしているのである。全く同じものが合わさるよりも、少し体質の異なったものが一緒になった方が、変化に強い、新しい共生システムを生む可能性がある。私は、連日栄養ドリンク漬けで取り組んだ(本当)。自画自賛して大変申し訳ないのだが、37名の受講生はその努力の賜物である。

元々、今年度の受講生募集の見込みとしては、地域でインタープリターとして活動しうる人材を開拓しつくした感があり、大きな宣伝費を投入しないことには同様の人数を集めることができないだろうと考えていた。その経費捻出は難しいので、コスト削減のために外部講師から内部講師へ、より無理を言える(安い講師料で依頼できる)方に講師を変更し依頼した。そのために私が講師に復活したり小崎トレーナーに無理を言ってお願いしたのであるが、おおむね講座のコーディネートが済んた段階になって、国の委託事業を兼ねて実施できることになり、広告費や広報活動費を使わせていただけることになった。


宣伝チラシ

宣伝チラシを大量に印刷し新聞折込に入れたり、軽井沢にまで出向きチラシを置かせていただくなどの広報活動は、費用対効果は合わないと見ていたので、これまで踏み切れなかったことだった。その、例年以上の広報活動分で10名ほどを獲得でき、さらに嬬恋会館という立地で5名ほどを獲得できたのではないかと見ている。そして国が進めている小学校長期自然体験活動指導者養成研修であるということで、10名ほどが獲得できたであろう。それだけ引けば昨年とちょうど同じくらいの人数になる。

この小学校長期自然体験活動指導者養成研修を終えた指導者が、実際に活動することになる子ども農山漁村交流プロジェクトが実際に実施運用されることになると、この嬬恋村周辺にも多くの子ども達が来るのだろうし、その経済効果は大きいと考えられる。何しろ会員の活躍の場はとても広がることになる。6月25日−26日のCONE学校支援事業全体研修会では、30年以上自然体験活動で飯を食っている先輩が、こう言った。


子ども達に自然体験を!

「これまで、本当にいいスタッフが私のところで育ってくれた。どこに出しても恥ずかしくない名インタープリターだった。しかし、自然体験活動では年間200万円しか給料は払ってやれなかった。結婚と同時に、家族のためにみんな出て行ってしまった。…しかし、このプロジェクトが成功し実際に運用されれば、彼らに350万〜400万円を支払ってやれることができるんだ。それだけ払えれば、農山村なら充分に食べていけるんだ。だから、このプロジェクトは成功させなくちゃならない。このチャンスを逃してはならない」と。

全くその通り。強い感銘を受けたのは事実であるが、本当は、一週間もの自然体験活動を学校行事としてまとめてやらなくては自然に触れ合わせることができない現代社会に問題があることを忘れてはならない。おじいちゃんの家で毎日30分間の畑の手伝いや、学校帰りに毎日30分間の原っぱや森への寄り道をして育っていたら、年間の累積時間では数週間分に匹敵し、年間を通して生き物たちの生死や物質循環サイクルも見て育つことになり、地球生命と共に生きるライフスタイル…という感覚は自然に体得できているはずなのである。


嬬恋村三原、初代村長宅

また、豪雨のためにほとんど実施できなかった【講座6.上州三原インタープリターション】であったが、実際には、あの地域をインタープリテーションする場合、37名を一緒に行うのは少々無理があると感じた。山間集落の生活道は狭く、参加者を集めてお話しすることも厳しかった。それをやり遂げるのもインタープリターとしての器量であるが、その集落に合った人数を案内するべきとした場合、1パーティー15人までが望ましいと考える。

であれば、全国に120万人の小学校5年生がいて、それを指導するのに10万人の指導者を育成しようとしてる国の施策はなんとしても推進実現したい。120万人:10万人で12:1なのであるが、今の指導者輩出ペースだと最終的に2万人しか育たない可能性があり、それだと60:1となってしまい、今回の講座6.のような山村集落を案内する程度のごく安全なインタープリテーションですら、子ども達には危険で実施できなくなってしまう。他のもので自然体験をさせれば良いのであろうが、私達は地域の自然だけではなく、歴史伝統生活文化をも伝えるインタープリターでなのである。


講座3.自然の理解 講師:赤木道紘

当会はもちろん、子ども農山漁村交流プロジェクトと小学校長期自然体験活動に賛同し推進している団体であり、プロジェクトが実施運用された際にこの地域で下支えをしていく団体である。しかし、学校行事として何百人の生徒と金が一気に動く事業のため…ではなく、当地のインタープリターとして小学校5年生の指導も充分に対応できる人材を育成輩出することをコツコツやる…ことでこのプロジェクトに寄与していくのだという、本来の目的と役割を再認識すべきである。そうでないと、本来の自然の営みに不釣合いな、まとまった一週間の自然体験活動をお世話するためのインタープリターを輩出することになり、そのような人たちが地域の実情に即したインタープリテーションなどできやしないと思うからである。つまりは、小学校を受け入れるために地域住民が一夜漬けで蕎麦打ちを練習し当日体験させるというのとなんら変わりは無い。その付け焼刃の指導者住民が子ども達に蕎麦を語れるだろうか?とても無理だ。


講座7.対象となる参加者を知る、
ネイチャーゲーム(2時間) 講師:小崎昭一

今回、事業を監修してくださった小崎トレーナーは、私が2003年秋にネイチャーゲーム・リーダーを取得した時の講師である。(その時の主任講師は昨年まで監修してくださった国田トレーナーである。)小崎トレーナーは前橋市教育委員会という立場で長年、自然体験と学校教育をずっと見つめ続けてきた方である。この講座を迎える途中段階で、私は「講座の内容をもっと学校教育に即した内容に、教科に置き換える内容にすべきなのではないだろうか?」と不安になり意見を伺ったのだが、小崎トレーナーは「そうやって慣れない学校教育や教科科目に無理やり合わしてコンセプトを失うよりも、これまで通りきちんと地域をインタープリテーションできる人材を育成したほうが、最終的にこのプロジェクトに資することになります。」と仰った。迷いなく当会イズムで実施して本当に良かったと思う。背中を後押ししてくださった小崎トレーナーに深く感謝している。


今回は、当会の講師陣も改めて受けなおしている方もいらっしゃった状況もあり、受講生のレベルはこれまでで最も高かったと言える。しかし私としては、この中から、どれだけの人数が当会の運営に関わっていきたいと思ってくれるかが勝負どころだ。…そこまでいかないとしても、当会イズムを感じ取り、自ら進んでインタープリターと名乗ろうとする人は何人出てくるのだろうか。


◆地域に流れる意識や地域ならではのもの・ことを訪問者に対して紹介するのが地域案内人としてのインタープリター。
◆人間の言葉ではないものでメッセージを放っている自然の声をお伝えするのが自然解説者としてのインタープリター。
◆地球生命の未来のために個々が責任ある行動をとるために「気づかせる」のが環境教育者としてのインタープリター。

「会に入っているから」とか、「そういう風に周りが言うので」などと言っている人は、私ははっきり言ってインタープリターにはなってほしくは無いと思う。そういう、人任せで無責任な気持ちでは、上に列記したようなことで人の心を揺さぶることは出来はしないからだ。

時間押し気味の中、閉講式もバタバタしていたため、満足のいくスピーチができなかったので、ここで最後のスピーチを。


説明をする事業担当者(木村)

『・・・この講座で皆さんは、さまざまなインタープリテーションスタイル、そしてさまざまなアプローチ手法を見てきました。もう、自分だったらどんな風にするのがベストなのか、どうしたら自分の個性を表現することができるのかを見つけることができたと思います。

「まだ、私は勉強中だから…」なんて言わないで、ぜひ今日からインタープリターとして名乗ってほしい。今は、まだあなたは理想からかけ離れた小さなブリキでしょうが、毎日理想のメッキを塗りたくっていれば、いつかは、まあるい理想の球になることができます。99.9%純金の黄金球にだってなれるでしょう。そしてそれは、自らを安全なところに避難させてしまっていては、いつまでもメッキを塗ることはできないのです。それは、生命が次のステップに進むにはどうしてきたのか…で、お話しましたね?

皆さんの今の熱い心、その心をいつまでも大切にして、そしてその心の声に素直になって、今日からインタープリターと名乗ってください。皆さんが私達と共に歩んでいただけることを期待して、この講座を閉講します。長い間、お疲れ様でした。』

嬬恋村インタープリター会 事務局長 赤木道紘


※この事業は終了しました。同様の講座は 浅間・吾妻エコツーリズム協会 で、

エコツアーガイド養成講座 として実施しています。


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