草軽電鉄廃線跡を歩く(その1)

‡--‡--‡--‡--‡--‡--‡--‡
草軽電鉄の雄姿
草軽電鉄の最後まで残っていた区間が廃止されてから,もう47年にもなる.かぶと虫の愛称を持つ小さな電気機関車が,自分の車体の何倍もある木造客車を引っ張って浅間高原を走る情景は,いささか時代遅れの感はあったが,ここでしか見られぬ風物詩であり,文学作品や映画にも登場した.
戦後の高度経済成長時代,鉄道の近代化に乗り遅れ,道路網の整備とマイカーの普及に足許をすくわれ,最後は吾妻川氾濫による鉄橋流失が廃止に追い討ちをかけた.線路を撤去した路盤は道路や私有地に再利用されたが,中には放置されたまま元の自然に回帰してしまった場所もある.そんな林の茂みや薮の中に,当時の遺構がひっそりと佇んでいるのを発見したとき,あっと驚くに違いない.まだ建設機械などなかった時代,果敢に中央分水嶺横断鉄道を敷設した先人の叡智と偉業を讃えたい.
厳冬のさなか,氷雪と闘いながら定時運転を守るために,どんな苦労があったのだろう.この鉄道が唯一の交通機関であった頃の村の様子についても思いを馳せてみよう.

‡--‡--‡--‡--‡--‡--‡--‡

主 催 嬬恋村インタープリター会
日 時 2009年5月8日(金)
集 合 北軽井沢 駅舎前駐車場 9.00
解 散 国境平 スノーパーク付近 15.00
コース予定と主な見どころ (午前中)
 北軽井沢駅舎〜栗平駅付近〜熊川支流の橋台〜浅間大滝〜北軽井沢
 *北軽井沢から国境平へ各自のクルマで移動.途中浅間牧場で昼食予定.
(午後)
 国境平駅〜二度上駅(スイッチバック)〜国境平
参加費 1000円(保険代を含む) 但し,本会団体保険加入済みの方は 500円
持ち物 弁当,飲み物,雨具,帽子、手袋,その他
*道のない薮の中を歩くので,丈夫な長袖長ズボンで.
申込方法 Eメールまたは電話にて、1)お名前、2)生年月日、3)住所、4)連絡先電話番号、5)本会団体保険加入の有無 をお知らせ下さい.
申込窓口 宮川富士夫 Eメールはこちら
●IP電話 050-1040-3092  ●携帯電話 080-3479-5586
申込〆切 2009年5月4日(月)
草軽電鉄廃線跡を歩く(全3回)のお誘いチラシはこちら(rtf文書)


草軽電鉄廃線跡を歩く(その1) 実施報告書

北軽井沢駅
平成18年に文化財に指定された北軽井沢駅。ここから出発しました。



草軽電鉄線路跡
線路があったところはすでに藪が多く、歩くのが困難なところもあります。




途中の二度上駅の駅舎跡です。
ここにはスイッチバックがありました。


              

半世紀ぶりの復活運転となる草軽電鉄の臨時快速「インタープリター1号」は定刻9時20分に北軽井沢駅を発車.次の停車駅は栗平だが,ほぼ平坦線のため,県道との並走区間を快調に飛ばす.時々連結器が外れて,乗客9名の客車を残したまま,機関車だけが100メートルも先に行ってしまうハプニングも見受けられたが,運転事故には至らず.

静かな大学村別荘地の中を通るときは,クルマと出会わないのでホッとする.
栗平駅の傍には社宅が残っており,元鉄道員の家族が住んでおられる.

列車は県道を迂回して小矢沢橋梁に到着.両岸に鎮座する橋台は,安山岩を切出した角材を丁寧に積み重ねて作られている.近頃の若者が愛用しているコンクリート橋とは品格が違う.

この先,サミットの国境平駅まで連続上りこう配が続き,途中にはスイッチバック式の二度上駅が設けられている.残念ながら,崖崩れで不通になっており,いったん北軽井沢駅に引き返し,国境平駅から二度上駅に向かう変則ダイヤがとられた.

浅間牧場で昼食を摂りながら,乗客M氏持参のポータブルDVD「鉄路の轍(草軽電鉄)」を鑑賞.

二度上駅までの線路状態は芳しくなく,薮こぎや倒木くぐりの徐行区間が残っている.が,乗客の方はそれを楽しんでいるフシがある.聞いてみると,全員が本会の会員と判り納得.
発車前に配布した資料の中に,地形図を使ったクイズを入れてみたが,全員が正解.会員にはやさしすぎたか.ここが草軽電鉄だったという頭の中のイメージがなければ,何の変哲もないハイキングだったかも知れないが,沿線の草花や野鳥について,多くの乗客から解説して頂くことにより,有意義かつ楽しい旅となった.

終着国境平駅には16時08分に到着.定刻よりも8分延だが,これは山菜採りで臨時停車したため.
なお,車掌携行の列車保安器具(救急用品とクマ撃退機)は一度も使わなかったことを付記しておく.

2009年5月11日   文責 宮川富士夫
写真提供 安田滋



草軽電鉄廃線跡を歩く(その2)へ

草軽電鉄廃線跡を歩く(その3)へ

嬬恋村インタープリター会TOPへ