羽根尾別荘地・秋の植物観察会

(同時開催・有害外来植物の除去)

志賀高原・赤石山(2,108m)σ--σ--σ--σ--σ--σ--σ--σ
別荘ライフの一層の充実と親睦増進を兼ねて、去る8月16日、植物観察会を催したところ、参加者から「春、秋にもやって欲しい」とのリクエストがありました。また、有害外来植物の除去のボランティアを提案しましたところ、賛同もいただきました。ということで、下記イベントを計画いたしました。お気軽にご参加ください。
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主催者 豊島襄(嬬恋村インタープリター会会員)
日 時 平成19年10月7日(日)午前9時〜12時、小雨決行、雨天中止
場 所 羽根尾別荘地内(案内所前集合)
案内人 豊島襄(375区画・森林インストラクター)
≪内 容≫

 1.植物観察会

標高1000m前後の当別荘地には、街にはない珍しい植物があります。別荘地内を巡りながら、秋の樹木、草などを楽しみます。

 2.有害外来植物の除去(有志の方)

しかし、当別荘地にも外来生物法に指定された特定外来植物、要注意外来植物などが侵入を始め、当地固有の在来種を駆逐し始めています。旧レナウン保養所跡を中心に、そうした外来植物の除去を行います。これに賛同される方は、ご参加をお願いします。[参加される方は、長ズボン、長袖シャツ(できれば白に近い色)、軍手などご用意ください]

費 用 お一人様¥200(イベント保険代、資料作成費、通信費など)
申込先 西武不動産羽根尾案内所
TEL0279-82-2711 当日飛び入り参加も可
協 賛 西武不動産羽根尾案内所
協 力 嬬恋村インタープリター会

羽根尾別荘地・秋の植物観察会(同時開催・有害外来植物の除去)チラシはこちら

写真撮影:木村道紘(画像クリックで少し拡大します。)

【イベント参加の感想】 --- by 木村道紘

この自然観察会は、豊島さんが自主的に地域住民のために開催しているものであり、その熱意に頭が下がるばかりである。それを、当会としては宣伝告知という形で協力している。

いろいろあったが、個人的に刺激を受けたことを書き留めておく。

ヤマラッキョウ(ユリ科ネギ属)が普通に咲いていた。万座では今のところ見たことがない。参加者は野性味たっぷりの匂いをくんくん。

樹皮がボロボロの樹はヤエガワカンバ(カバノキ科カバノキ属)。初めて見るが、この付近には結構あった。 今日の観察会では、【羽根尾別荘地の植物たち】という資料が配布され、それを持って歩く。豊島さんは、植物の名前を覚えることについて、このように仰っていた。

「虹は日本では何色に分けていますか?…そうです、7色ですよね。しかし英語圏では、6色に分けています。そして世界では、2色にしか分けていないところもあります。それは、日本では7色に分ける言葉を持っているが、他国では6色や2色にしか分ける言葉が無いということです。…要するに、ものを分別するには、言葉・名前で分別するしかないわけです。例えば私がこの森の樹を見ると、一本一本全部違う風に見えています。それは、それぞれの名前を知っているからです。でも、樹の名前を知らない方にはどう見えるでしょうか?…全部同じ、樹の集団にしか見えないわけです。…樹の違いを解るようになるためには、樹の名前を覚えるしかないのです。」

サンショウ(ミカン科サンショウ属)の熟していない?赤い実と、熟した?黒い実。口の中に入れて見て後悔するのはこの赤い方。

そしてヤマネコヤナギの樹にあったきのこは、発生の仕方はどうみてもカバノアナタケに似ている。シラカバ、ダケカンバの他、一部のハンノキに出るとは図鑑に書いていたが…。本物だろうか?

豊島さんに外来植物駆除の話をさせたら右に出るものはいない…くらい、外来植物駆除にはこだわっている。今日の観察会最後は外来植物駆除でしめる。

オオブタクサ、ブタクサ、セイタカアワダチソウ、ニセアカシアなど…。参加者はこの考えに賛同し、皆で駆除作業をした。旧レナウン保養所施設跡は高台の開けた立地で、コンクリートが露出し塩基性物質が流失して土壌がアルカリ性になっているのだろうか?外来種だらけだ。森林内であればここまで酷くはならないのだろう。

しかし、オオブタクサはもう種ができていて、引き抜いて移動させると種が落ちるものもあった。来年はもう少し早くやったほうがいいように思った。ほんの20分ほどしか駆除作業は行えなかったが、外来種問題の啓蒙活動・アピールには十分だろうと思った。

駆除作業をしながら、気になったのはこのハマナス…らしい。カラフトイバラではなく、ハマナス。海岸地方にあるはずのハマナスがなしてここに?自生種のカラフトイバラと交配して遺伝子の多様性が失われたらどうするのか?…とも私は思うわけだが、このような生物多様性の危機感は「新・生物多様性国家戦略」を読むようなの、いわゆる専門家の範疇の人でないと持たないだろう。ここに、外来種問題を含めた自然保護啓蒙の難しさがある。一般の方々に、どのようにしたらそういうセンシティブな自然保護思想を伝えられるのだろうか。それとも、そういうことはもう考えなくて良いのだろうか。考えて手をこまねいている間に人心が自然から離れてしまうのだったら、ある程度の生物多様性の消失はもう眼を瞑って宣伝力・マーケティング力で自然に振り向かせた方が良いという考え方もあるだろう。そして、実際の現実社会ではおおよそが後者を選択する傾向にある。

私の心をとらえて離さない言葉の一つに、こんな言葉がある。アマゾンの少数民族保護にかかわっている人の言葉だった。

(FUNAI職員、エルビス・ポスエロの言葉)
「世界はものすごい勢いで平準化している。それは同時に平準化の中で取り残された彼らのような部族が絶滅していくことでもあるのだ。それがどんなに少数の部族であったとしても、異なるものが失われていくということは、同時に我々の豊かさを失っているということなのだよ。」

そんなことを思い出しながら、白亜紀から花の形態としてそう変わっていないというハマナスの実を食べた。はるか昔、私たちの祖先が食べたのもこんな味だったのだろうか。そして、祖先らは自分達が共生関係を作り上げた被子植物がこんな問題になるまで繁栄するとは思いもよらなかっただろうなと。まあ、当時ネズミのような存在だった祖先たちはそんなことは考えるわけもあるまいが。

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